申請タイミング別|金融機関からの借入難易度

【どのような時に金融機関から借入を行うのか】

金融機関からの借入ですが、様々なケースがあります。
例えば、創業時と創業後、また、創業後であっても初めて借りるのか、それとも既に借入があり再度借入を行うのかなどです。
図にすると以下のようになります。

初めての借入2回目以降の借入
創業時ケース1
有り得ないため除外
創業後ケース2
ケース3

【ケース別の金融機関からの借入注意点】

ケース1は、創業時に借入をする場合です。
この場合、会社としての実績がない段階ですので、創業計画書の中身が重要となってきます。
創業計画の内容が現実的かどうかに加え、創業前のサラリーマン時代の実績などもアピールポイントとなります。
また、創業前に創業のための貯金を毎月コツコツ行っていたこともアピールポイントになります。

ケース2は、創業時に借入の必要はなかったが、創業後に借入が必要なケースです。
この場合は、会社としての実績がありますので、創業計画書ではなく、会社の決算書の提出が求められます。
決算書の見られ方は、各金融機関によって様々な分析がされているようですが、一般的には、次に当てはまると借入が難しくなってきます。
①「純資産がマイナス」になっている
純資産とは、資産から負債を引いた金額です。
会社は、設立時点では、資本金の分だけCashが会社にあります。
すわなち、資本金の金額分だけ純資産がプラスになっています。
会社はこの資本金をテコに利益を上げていくことを目指し、純資産は増えていくのが理想です。
純資産がマイナスになっているということは、赤字が続いて設立時に投入した資本金を食いつぶしている状態となります。
このような状態の会社に対しては、融資がおりづらいです。


②「役員貸付金」がある
役員貸付金とは、会社が社長にお金を貸している状態です。
逆から見ますと、社長が個人的にお金が必要になったものの手元にお金がなかったので、会社のお金を借りている状態です。
このような「役員貸付金」がある会社の場合、会社に貸したはずのお金が社長の個人的な支払いに流用されると危惧され、融資がおりづらくなります。

ケース3は、以前借入をしていたが、再度、借入をしようとするケースです。
この場合は、ケース2同様、創業後の話になりますので、まずは、決算書の提出を求められます。
決算書の見られ方はケース2と同様です。
ケース2との違いは、一度融資を受けている点です。

融資は、最初に受けるときが一番面倒で時間がかかります。
貸す側の金融機関からみますと、どの様な会社なのかを見極めるため慎重に審査をするためです。
これは逆に言いますと、一度借入ができたということは、その金融機関からの審査を通っていることになります。
よって、2回目の融資は、最初の融資よりもスムーズにいくことが多いです。
特に当初の借入金額の半分くらいの返済が済んでいる場合は、残債を一括返済し再度当初借入金額の借入を行う、いわゆる、折返し融資を受けやすいです。


弊事務所では、借入のお手伝いもさせていただいておりますので、お気軽にお問い合わせください。

【著者プロフォール】葛西安寿(かさいやすひさ)|葛西安寿税理士事務所 所長税理士
青森県弘前市出身。弘前市、仙台市の税理士事務所勤務を経て税理士法人トーマツで8年間の下積みを経て2014年に開業。港区芝浦にオフィスを構える。悩める社長に寄り添い、適切なアドバイスを心掛けながら背中を押してあげることこそが、使命であると考え日々の業務に励んでいる。