税務署の処分に不服があった場合(その2)

税務署の処分に不服があった場合には

税務署や国税局が行った処分に不服がある場合に、その処分の取消し・変更を求める方法には次の3つがあります。
①税務署長などの処分庁に対する再調査の請求
②国税不服審判所長に対する審査請求
③裁判所に対する訴訟の提起

国税不服審判所への審査請求

前回は、「再調査の請求」についてみていきましたが、今回は「国税不服審判所長に対する審査請求」についてみていきます。
再調査の請求は、処分を下した税務署長や国税局長に対して行います。
これに対して、審査請求は、国税局や税務署から独立した別個の機関である国税不服審判所に対して行うものです。
この審査請求は、再調査の請求についての決定に不服がある場合に行うだけでなく、再調査の請求を経ずに直接行うこともできます。
国税不服審判所の審判官は、約半数が実務に精通した民間専門家(弁護士や税理士、公認会計士など)からの外部登用となっていることが特徴となっています。
また、標準審理期間は再調査の請求が3ヶ月であったの対して、審査請求では1年となっています。

令和3年度の審査請求の概要

令和4年6月に、令和3年度(令和3年4月1日~令和4年3月31日)の審査請求の概要が公表されています。
取下げ等 321件 14.1%
却下 98件 4.3%
棄却 1,566件 68.6%
一部認容 137件 6.0%
全部認容 160件 7.0%
合計 2,282件 100%
令和3年度の処理件数は2,282件となり、令和2年度に比べると46件の減少となっています。年によってバラツキはあるものの、この10年間は2,500件前後を推移しています。
なお、再調査の請求(旧異議申し立て)を経ての審査請求と、再調査の請求(旧異議申し立て)を経ない直接の審査請求の割合は、概ね前者が30%、後者が70%となっています。すなわち、税務署等の処分に不服がある場合、税務署等へ再調査の請求をするのではなく、直接国税不服審判所へ審査請求している方がかなり多くなっています。
2,282件のうち納税者側の主張が認められた割合は、一部認容6.0%+全部認容7.0%=計13.0%となっています。
一見、再調査の請求に比べて高い割合のように見えますが、過去10年間で見た場合は、7.4%~13.2%となっています。
再調査の請求は6.8%~12.4%でしたので、結局のところ同程度となっていて、やはり納税者の主張は通りづらいということになっています。

【著者プロフォール】葛西安寿(かさいやすひさ)|葛西安寿税理士事務所 所長税理士
青森県弘前市出身。弘前市、仙台市の税理士事務所勤務を経て税理士法人トーマツで8年間の下積みを経て2014年に開業。港区芝浦にオフィスを構える。悩める社長に寄り添い、適切なアドバイスを心掛けながら背中を押してあげることこそが、使命であると考え日々の業務に励んでいる。