税務署の処分に不服があった場合

税務署の処分に不服があった場合には

税務署や国税局が行った処分に不服がある場合に、その処分の取消し・変更を求める方法には次の3つがあります。
①税務署長などの処分庁に対する再調査の請求
②国税不服審判所長に対する審査請求
③裁判所に対する訴訟の提起

再調査委の請求

今回は、このうち①税務署長などの処分庁に対する再調査の請求についてみていきたいと思います。
「再調査の請求」は、平成28年3月31日以前は「異議申立て」と呼ばれていましたが、不服申立制度の改正により、平成28年4月1日以降から「再調査の請求」に改められています。
「再調査の請求」の内容ですが、その名の通り、税務署長などが下した処分について不服がある場合に、納税者が税務署長などの処分庁に対してその処分の取消しや変更を求める手続きとなります。
この「再調査の請求」があった場合ですが、標準審理期間が3ヶ月なっていますので、概ね3ヶ月以内には何かしらの結論が出ることになっています。

令和3年度の再調査の請求の概要

令和4年6月に、令和3年度(令和3年4月1日~令和4年3月31日)の再調査の請求の概要が公表されています。
取下げ等 283件 23.6%
却下 57件 4.8%
棄却 775件 64.7%
一部認容 80件 6.7%
全部認容 3件 0.2%
合計 1,198件 100%
令和3年度の処理件数は1,198件となり、令和2年度に比べると199件の増加となっています。しかしながら、10年前の平成24年度は3,286件もあり、大きな視点で見ますと、概ね減少傾向にあると言えます。
なお、処理件数の意味ですが、税目・年分ごとにカウントした数となります。例えば、法人税、地方法人税、消費税について3年分の再調査の請求があった場合は3税目×3年分=処理件数9件とカウントします。
よって、処理件数は1,198件あるものの、実際に再調査の請求をした人の数はずっと少ないものと思われます。
この1,198件のうち納税者側の主張が認められた割合は、一部認容6.7%+全部認容0.2%=計6.9%となっています。過去10年間で見た場合でも、6.8%~12.4%となっていて、かなり低くなっています。

なお、納税者の主張が認められなかったケースのうち、「却下」は請求自体が不適当で請求を受け付けなかったいわゆる門前払いとなり、「棄却」は請求を受け付けたもののやはり納税者の主張が認められなかったケースとなります。
残った「取下げ等」ですが、再調査の請求をした納税者が、請求自体をやめるというケースになります。
「取下げ等」は取下げに至った経緯が不明です。納税者側が手間暇考えてやはり請求を断念することもあれば、処分庁側の勘違いや凡ミス等が発覚し納税者の主張を認めますというケースもあるかと思います。
よって、数値上出てこない処分庁側の理由による取下げ等も加味すると、納税者側の主張が認められているケースはもう少し多いのかもしれませんが、それでも、やはり納税者の主張はなかなか認められないということになります。

再調査の請求でも主張が認めらない場合で、それでも何とかしたいときは、国税不服審判所長に対する審査請求や裁判へ進むことになります。再調査の請求から合わせますと膨大な時間とコストが発生する可能性がありますので、これらと天秤にかけて再調査の請求をするかどうかを決める必要があります。

【著者プロフォール】葛西安寿(かさいやすひさ)|葛西安寿税理士事務所 所長税理士
青森県弘前市出身。弘前市、仙台市の税理士事務所勤務を経て税理士法人トーマツで8年間の下積みを経て2014年に開業。港区芝浦にオフィスを構える。悩める社長に寄り添い、適切なアドバイスを心掛けながら背中を押してあげることこそが、使命であると考え日々の業務に励んでいる。