税務署の処分に不服があった場合(その3)処分の取消し・変更を求める3つの方法

税務署の処分に不服があった場合には

税務署や国税局が行った処分に不服がある場合に、その処分の取消し・変更を求める方法には次の3つがあります。
税務署長などの処分庁に対する再調査の請求
国税不服審判所長に対する審査請求
③裁判所に対する訴訟の提起

裁判所に対する訴訟の提起

前回は、「国税不服審判所長に対する審査請求」についてみていきましたが、今回は「裁判所に対する訴訟の提起」についてみていきます。
納税者は、行政上の不服申立制度である「再調査の請求」や「国税不服審判所長に対する審査請求」を経た後、なお不服がある場合は、いよいよ裁判所に対して「訴訟」を提起することができます。

令和3年度の訴訟の概要

令和4年6月に、令和3年度(令和3年4月1日~令和4年3月31日)の訴訟の概要が公表されています。
取下げ等 11件 5.5%
却下 17件 8.5%
棄却 158件 79.4%
一部敗訴(国側) 6件 3.0%
全部敗訴(国側) 7件 3.5%
合計 199件 100%
令和3年度の訴訟の発生件数は187件となっています。10年前の平成24年度は383件ありこの10年間は右肩下がりの減少傾向となっています。
また、令和3年度の「再調査の請求」は1,119件、「審査請求」は2,458件ですので、これらの行政上の不服申立制度に比べると、訴訟まで行くケースはかなり少なくなっていることがわかります。
令和3年度に終結した訴訟199件のうち納税者側の主張が認められた割合は、一部敗訴(国側)3.0%+全部敗訴(国側)3.5%=計6.5%となっています。過去10年間でみますと、国側の敗訴割合は3.4%~10.0%となっていて、ほぼほぼ納税者の主張は認められていないことがわかります。

ここまで3回にわたり、税務署や国税局が行った処分に不服がある場合の、その処分の取消し・変更を求める方法についてみていきました。納税者側の主張が通った割合は、いずれもざっくり10%程度です。取下げについては、処分庁側の単純な認識違い等により取下げとなったケースもあると思われますので、納税者側の主張が通った割合はもう少し増えるかもしれませんが、やはり狭き門といえます。
このような事実を踏まえ、不服があった場合にどこまで戦うかは、よほど確信めいたものがない限り徒労に終わる可能性が高く、慎重な判断が必要になってくるものと思われます。
【著者プロフォール】葛西安寿(かさいやすひさ)|葛西安寿税理士事務所 所長税理士
青森県弘前市出身。弘前市、仙台市の税理士事務所勤務を経て税理士法人トーマツで8年間の下積みを経て2014年に開業。港区芝浦にオフィスを構える。悩める社長に寄り添い、適切なアドバイスを心掛けながら背中を押してあげることこそが、使命であると考え日々の業務に励んでいる。