最近の税務調査の状況|令和3事務年度の調査事績

令和4年12月に「令和3事務年度 法人税等の調査事績の概要」が公表されました。
コロナがあり、税務調査が減っているとは思っていましたが、現状、どの程度行われているのか見ていきたいと思います。

まず、わかりづらい「令和3事務年度の調査事績」の意味するところですが、これは令和3年2月1日から令和4年1月31日までの間に事業年度が終了した法人を対象として、令和3年7月から令和4年6月までに実施した調査となります。
以下に、平成30事務年度~令和3事務年度までの数値を並べてみました。
事務年度 (税務調査実施期間)実地調査件数調査1件当たりの 追徴税額
令和3
(令和3年7月~令和4年6月)
41,000件5,701,000円
令和2
(令和2年7月~令和3年6月)
25,000件7,806,000円
令和1
(令和1年7月~令和2年6月)
76,000件3,135,000円
平成30
(平成30年7月~令和1年6月)
99,000件2,943,000円
直近の令和3事務年度の実地調査件数は41,000件となっています。コロナが全く関係しなかった平成30事務年度は99,000件でしたので、まだまだコロナの影響があることがわかります。
調査1件当たりの追徴税額とは、法人税と消費税の本税と加算税を合計した金額となっています。
コロナによって、調査件数は減っていますが、その代わりに1件当たりの追徴税額は大幅に増えています。狙いを絞って税務調査を行っていることが窺えます。
この記事を書いている令和5年1月8日時点では、新たにコロナに罹患されている方が多く、令和4事務年度も調査件数はそこまで多くなっていないのではないかと思います。
税務署は7月に人事異動となり、事務年度が替わります。今後のコロナの状況次第とはなりますが、気を遣わず調査できるような環境になっているとしますと、令和5年7月以降はぐっと税務調査の件数が増えてくるかもしれませんのでご注意を!
【著者プロフォール】葛西安寿(かさいやすひさ)|葛西安寿税理士事務所 所長税理士
青森県弘前市出身。弘前市、仙台市の税理士事務所勤務を経て税理士法人トーマツで8年間の下積みを経て2014年に開業。港区芝浦にオフィスを構える。悩める社長に寄り添い、適切なアドバイスを心掛けながら背中を押してあげることこそが、使命であると考え日々の業務に励んでいる。