少額な交際費基準の改正

1:そもそも交際費等とは

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皆様の中で「大体こんなものかな」という感覚はお持ちかと思いますが、税法では、
①交際費、接待費、機密費などの費用で、
②法人が、その得意先、仕入先などの事業に関係のある者に対する
③接待、供応、慰安、贈答などの行為のために支出するもの と定義されています。
よって、得意先・仕入先にならない「家族」や「友人」との飲食は、当然ながら交際費にならないことなります。

2:交際費等は全額費用として認めてくれない?

交際費等は会社の業績を伸ばしていくためには欠かすことのできない支出ではあるものの、これを際限なく認めてしまうと「税金を納めるくらいなら、取引先と楽しく飲んで食べて盛大に使おう!」となりかねないため、法人税の計算上は一定の上限が設けられています。

3:どこまで法人税の費用としてみてくれるのか?

これは会社規模と交際費等の中身によって変わります。
本ブログでは、大法人に支配されていない「資本金1億円以下」の中小法人について説明していきます。
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交際費等を「外部飲食費」と「外部飲食費以外」に分けます。
ステップ1の外部飲食費を参加者人数で割り、1人当たりの単価を出します。
この一人当たりの単価によって、「1万円以下のもの」と「1万円を超えるもの」に分けます。
表の①については、上限なく全額費用として認められます。
表の②③については、次のうち多い金額までが費用として認められます。
(1)1万円超飲食費(表②)×50%
(2)年間800万円(1年未満の事業年度の場合は、800万円を月割り計算します)

例1)②が300万、③が500万円で、合計800万円の場合
(1)300万円×50%=150万円
(2)800万円
(1)<(2)なので、800万円まで費用として認められます。

例2)②が2,000万円、③が200万円で、合計2,200万円の場合
(1)2,000万円×50%=1,000万円
(2)800万円
(1)>(2)なので、1,000万円まで費用として認められます。

4:税制改正の内容及び適用時期等

今回の税制改正では、ステップ2の1人当たりの外部飲食費の基準となる金額が、5千円から1万円に大幅に増額されています。
毎期、交際費等が800万円ぎりぎり若しくは800万円を超えている会社にとっては朗報かと思います。
なお、改正の時期ですが、令和6年4月1日以降に支出する交際費等について適用されます。
よって、3月決算以外の法人の場合は、同じ事業年度において、5千円基準と1万円基準が混在しますので、注意が必要です。
【著者プロフォール】葛西安寿(かさいやすひさ)|葛西安寿税理士事務所 所長税理士
青森県弘前市出身。弘前市、仙台市の税理士事務所勤務を経て税理士法人トーマツで8年間の下積みを経て2014年に開業。港区芝浦にオフィスを構える。悩める社長に寄り添い、適切なアドバイスを心掛けながら背中を押してあげることこそが、使命であると考え日々の業務に励んでいる。