消費税の納税について思うこと|申告時期の社長の絶叫

納税
2019年10月に消費税の税率が10%になってから約2年半が経過しました。

3~5%だった時代は、ややもすると誤差のような感覚でいましたが、10%ともなると全くもって無視できない存在となってしまったような気がします。

これに伴い納税額も可愛くない金額となり、申告時期の社長の絶叫は、もはや風物詩と化しています。

社長が消費税の納税に驚くいくつかの理由

どういうことかといいますと、例えば売上100万円に消費税10万円の合計110万円が入金されたとします。
この110万円を分解して考えますと、会社で使えるお金は100万円、残りの10万円は税務署へ納める金額ということになります。

しかしながら、まとめて会社名義の口座へ入金されてくるので、これをみた社長はついつい全部会社のものと錯覚してしまうのです。
錯覚したまま、口座残高全額を使ってしまいますと、いざ納税するときに資金がないということになってしまいます。
例えば、売上1,000万円に対し役員報酬が1,200万円で、最終的に200万円の赤字であったとします。
経営成績としては赤字で、一見納税は発生しないように思われます。
しかしながら、役員報酬には消費税がかからないため、結果として売上に係る消費税100万円の納税が発生します。
社長の感覚としまして「赤字なのでほぼ納税はないだろう」と思っているところ100万円の納税となるため思わず絶叫!となってしまいます。
このような悪い意味でのサプライズを避けるには、納税予想をしたうえで、定期的に口座から納税資金をおろしておくのが一番です。
「使わない口座に移しておく」「現金として茶封筒にいれておく」等、とにかくメインの口座から抜いて見えなくしておくのがお勧めです。
いざ100万円納税するときに、そのつもりでストックしておいたところから払うのと、やっとの思いで貯めたメイン口座の残高をガクッと減らして支払うのとでは、心理的にもかなり変わってきます。

ダイレクト納付の届出をされている場合

予納制度もあるので一度活用を検討してもよいかもしれません。
予納制度は読んで字のごとく、予め納める納税方法で、自分で好きな日に好きな金額の口座引落依頼をすることが可能となっています。
一度に48の納付日の登録が可能となっていますので、納税予想額を12分割にして毎月納付することもできますし、まとまったお金が入ったときにスポットで納税しておくことも可能です。
弊事務所では、毎月関与のクライアント先に対しましては、納税予想額をお伝えしています。また、ダイレクト納付に関しましてもご案内させていただいておりますので、ご興味のある方はお問い合わせいただければと思います。

【著者プロフォール】葛西安寿(かさいやすひさ)|葛西安寿税理士事務所 所長税理士
青森県弘前市出身。弘前市、仙台市の税理士事務所勤務を経て税理士法人トーマツで8年間の下積みを経て2014年に開業。港区芝浦にオフィスを構える。悩める社長に寄り添い、適切なアドバイスを心掛けながら背中を押してあげることこそが、使命であると考え日々の業務に励んでいる。