お買い物にもコツがある|決算間際にあなたの舵取りが試される

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当期の利益状況が見えてくると、税金の負担額が気になってくると思います。

決算対策で「大きな買い物をして節税しよう!」と考えたくなるところですが、すぐに費用にできるものとそうでないものを見極める必要があります。

決算間際のお買い物としてよくあるのは、自動車、PC、ソフトウェア、オフィス家具、備品などです。

決算間際に取引先の接待や従業員との懇親会を行う方法もありますが、1回で数万円程度しか費用にできないのに対し、資産を購入する場合は数万円~百万円単位で費用化でき効果は絶大です。
ただし、節税だからと言って、モノを買うことにばかり集中して不要なものを購入しては何の意味もありません。

当たり前ですが、「会社の事業にとって必要かどうか」という観点を忘れずに、無駄な買い物をしないように気を付けましょう。

後で後悔した例として、決算間際にPCを購入したケースをご紹介します。

もともとPCは1人1台貸与していることが多いと思います。
今のPCから新しいPCへの切替作業が必要になりますが、今のPCで不自由していなければ新しいPCなど必要ありません。
いざ切替が必要になった時にはもう型が古く「今買った方がもっと安い値で良いものを買えたのに…」という残念なことになりました。
必要になったタイミングならその時の最新のものが買えますし、もちろんその時の費用になりますので、決算だからと急いで買うことはお勧めしません。

PCに限らず、「後で必要になる」と思って多めに買って後悔するケースが意外に多いので「今のタイミングで買う必要があるのか」という観点を忘れないようにしましょう。

資産を購入する場合は注意が必要です。
購入価格が10万円以上の資産の場合、固定資産に該当するため、減価償却という方法によって数年かけて費用にしていく必要があるのです。
減価償却費は月割計算するため、期末間際に買った場合は1か月分しか費用になりません。
例えば60万円のソフトウェア(5年償却)を期末間際に購入した場合、その年度の費用は、60万円÷5年÷12ヶ月となり、僅か1万円です。
「決算だから」と思って60万円のソフトウェアを買っても、1万円しか費用にできないのであれば、わざわざ無理をして買う必要はなかったということになります。

ただし、購入価格が30万円未満の場合、2つの特別な方法があります。
・10万円以上20万円未満の資産(一括償却資産)
3期にわたり、毎期1/3ずつ定額で費用にできます。
月割計算の必要がないため、購入額の1/3が当期の費用になります。

・10万円以上30万円未満の資産(少額減価償却資産)
購入額全額を一括で費用にできます。
ただし、上限が定められており、年間300万円までです。(資本金1億円以下など一定の要件を満たす中小企業者等にのみ認められる制度です。)
これらの金額は、税抜経理方式であれば税抜金額、税込経理方式であれば税込金額で判断します。
例えば、税抜19万円の固定資産を購入したの場合、次のように考えます。

・税込経理方式 20.9万円のため、少額減価償却資産には該当しますが一括償却資産には該当しません。
・税抜経理方式 19万円のため、一括償却資産にも少額減価償却資産にも該当し、いずれかを選択することができます。
この2つの制度ついては一括償却資産と少額減価償却資産でもご紹介していますので、あわせてご覧ください。

決算間際に慌ててお買い物に走ると、本当に必要なのか、いくらが費用になるか、といった重要な視点が抜け落ちてしまうことがあります。
また、全部費用にできると思っていたのに、申告作業のタイミングで税理士から費用にならないと言われた…という残念なことが良く起こります。

大きなお買い物を考えている場合や、費用化できる金額が知りたい場合は、弊事務所へご相談頂き一緒に検討しましょう。