法人が赤字(欠損金)を出した場合に、その赤字を翌期以降に繰り越して、将来の黒字とぶつけることができる仕組みで、繰り越せる期間は10年間です。次のケースで考えてみましょう。
〈例〉中小法人等に該当する会社の場合
2020年度:500万円の赤字
2021年度:200万円の黒字
2022年度:400万円の黒字
2021年度は200万円の黒字ですが、2020年度の赤字500万円をぶつけることができるため、2021年度の課税所得はゼロになり、税金の負担は発生しません。2022年度に繰り越される赤字は300万円(500万円―200万円)です。
2022年度は400万円の黒字ですが、2021年度から繰り越した赤字300万円をぶつけることができるため、100万円の黒字に対して税金がかかります。
もし、この制度の適用がない場合、2021年度は200万円、2022年度は400万円に対して税金がかかることになります。
設立初年度は支出がかさんで赤字になるケースが多いです。
初年度の赤字を翌期以降に繰り越しておき、事業が黒字化した際に利用できることは大きなメリットです。
なお、赤字を繰り越すのではなく、逆に前期の黒字にぶつけに行く制度(欠損金の繰戻還付)もあります。