「退職金」3つのメリットをフル活用!

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退職金は通常の役員報酬や給与と比べると、所得税法上非常に優遇されています。
というのも、「退職後の生活のための資金」という位置づけから、税負担が重くならないように配慮されているためです。

退職金を支払う会社側では費用になり、受け取る個人の側では税負担が軽くて済みますので、どちらにとってもメリットの大きな制度です。

さらに、役員報酬や給与と異なり退職金は社会保険料の対象にもなりませんので、労使双方の社会保険料の負担を減らすことができます。

退職所得に関する3つのメリット

退職金のメリットは退職所得控除、所得控除後の金額に1/2、分離課税の3点です。

退職所得控除は給与所得控除のように、誰でも無条件で所得を控除することができる制度で、勤続年数によって算定します。 勤続年数20年以下の場合は40万円×年数、20年超の場合は、800万円(40万円×20年)+70万円☓20年超の年数となります。
このとき、1年未満の勤務期間は切り上げて1年とします。
例えば勤続期間25年の場合で退職所得控除を計算してみましょう。
800万円+70万円×5年=1,150万円 勤続期間が25年だと1,150万円控除できますので、退職金がこの金額以下であれば、税金は1円もかかりません。

退職所得控除だけでも結構なメリットですが、さらに退職所得控除後の金額に1/2を乗じた金額が課税対象額となります(ただし、役員の勤続年数が5年以下の場合は適用がありません)。
先ほどの例で退職金支給額を1,500万円とした場合、退職所得控除の金額は、350万円(1,500万円―1,150万円=350万円)となりますので、その1/2である175万円が課税対象額となります。

最後のメリットが分離課税です。
分離課税とは、他の所得と合算することなく、単独で税計算を行う仕組みです。
分離課税の逆が総合課税で、給与所得や事業所得など複数の所得を合算した上で超過累進制度が適用されます。
つまり、合算した所得の額が高いと、税率も高くなり最高で45%(住民税と合わせると55%)の税率が適用されるのです。
退職金の場合は分離課税として単独で税計算を行いますので、給与所得等他の所得の影響を受けませんので、悪戯に税率が高くなることがありません。
先ほどの例の場合、退職所得175万円に対する所得税の税率は5%ですので、所得税の負担は8.75万円(175万円×5%=8.75万円)となります。
住民税と合わせても、26.25万円(8.75万円+175万円×10%=26.25万円)です。
退職金1,500万円に対してかかる税金は26.25万円ですので、たったの1.7%の税負担で済むのです。
これに対して同じ1,500万円を給与所得で受給する場合、給与所得1,305万円(1,500万円-給与所得控除195万円)に対する税率43%(所得税33%+住民税10%)だとすると、561万円の税負担となりその差は歴然です。(なお、正確な税額計算のためには、社会保険料や各種所得控除などの計算が必要になります。)

役員退職金の注意点

これまで見てきたように、給与で支給するよりも退職金で支給した方が大きなメリットを得られるのですが、かといって高額すぎる役員退職金を支給してしまうと、税務上否認されるリスクがありますので注意が必要です。

一般的には、最終報酬月額×勤務年数×係数(社長3、専務2、常務・取締役1)程度であれば不相当に高額ではないとされています。
役員退任間近の報酬が低い場合、それに応じて支給できる退職金の額も少なくなってしまいますので、「何年後に退任したいか」、「退任時にいくらの退職金を支給したいか」、「退任に向けていくらの役員報酬を支給しておく必要があるか」など、事前に税理士と相談しながら作戦を練っておくと良いでしょう。

また、社長を退任して会長や相談役などに就任する場合にも退職金を支給することができるのですが、50%以上の報酬減額など一定の要件を満たす必要があります。
退職金は金額も大きく、万が一税務否認されると大変ですので、ぜひ弊事務所へご相談ください。