最後のメリットが分離課税です。
分離課税とは、他の所得と合算することなく、単独で税計算を行う仕組みです。
分離課税の逆が総合課税で、給与所得や事業所得など複数の所得を合算した上で超過累進制度が適用されます。
つまり、合算した所得の額が高いと、税率も高くなり最高で45%(住民税と合わせると55%)の税率が適用されるのです。
退職金の場合は分離課税として単独で税計算を行いますので、給与所得等他の所得の影響を受けませんので、悪戯に税率が高くなることがありません。
先ほどの例の場合、退職所得175万円に対する所得税の税率は5%ですので、所得税の負担は8.75万円(175万円×5%=8.75万円)となります。
住民税と合わせても、26.25万円(8.75万円+175万円×10%=26.25万円)です。
退職金1,500万円に対してかかる税金は26.25万円ですので、たったの1.7%の税負担で済むのです。
これに対して同じ1,500万円を給与所得で受給する場合、給与所得1,305万円(1,500万円-給与所得控除195万円)に対する税率43%(所得税33%+住民税10%)だとすると、561万円の税負担となりその差は歴然です。(なお、正確な税額計算のためには、社会保険料や各種所得控除などの計算が必要になります。)